中央競馬専門紙
w e b 楡馬
本紙/西ノ海嘉治郎
いよいよ競馬の祭典日本ダービーである。せっかくなのでたまにはまるで競馬新聞と見間違えるような話でもしよう。 今年は11年ぶりの牝馬参戦。近いところではビワハイジ(1996年)、シャダイソフィア(1983年)など、牝馬の中では有力な馬が挑んでいるが、どうやら壁は僕達が考えている以上に厚いようである。勝てばヒサトモ(1937年)、クリフジ(1943年)に続く史上3頭目の牝馬ダービー制覇となるわけだが、この勝った2頭はもちろん、戦前や戦後間もない頃にはダービーで善戦した牝馬が多かったので、今回はその中から何頭か取り上げてみたい。 まずは昭和8年(1933)に遡ってみよう。この年出走19頭中11頭が牝馬。勝ち馬はカブトヤマという牡馬だったが、2着が牝馬のメリーユートピア。このレースの注目は何と言っても目黒競馬場の向正面から始まる、カブトヤマの大久保房松とメリーユートピアの徳田伊三郎の仕掛け合い。この徳田伊三郎という騎手は、レース中に「ヘイ、チェッ」と声をかけていたらしい。今となっては、どういう意図があってそんな言葉が出てきたのかさっぱりわからない。もちろん70年以上前のレースと今を比べることにあまり意味はないが、当時のレースの仕掛けの早さを見ると小回りの地方競馬をイメージさせる競馬が楽しめる。カメラアングルの都合でよく見えなかったりするんだけど。 続いては昭和11年(1936)。断然人気はこれまた牝馬クレオパトラトマス。前年の「元祖幻のダービー馬」ミラクルユートピアと同じく、デビュー3戦目で御賞典(天皇賞の前身)に勝ち、ダービーに乗り込んで来たが、出遅れで11頭中9着。昭和39年8月号の『優駿』では、「今競馬の殿堂のようなものがあれば、文句なしにパスするであろう」とまで評価されている。繁殖成績を考慮すれば、僕もそれくらいの価値はあると思う。 続いて昭和12年(1937)、ヒサトモの登場である。この年はレベルが高く、クリフジの全兄で後の天皇賞馬ハッピーマイトや関西のゼネラルなどが出てきたが、結果はヒサトモがダービーレコードを10秒近く縮めて優勝し、2着も牝馬のサンダーランド。ちなみにこのヒサトモ、記録上は中島時一の調騎兼業となっているが、実際に普段調教をつけていたのは前述のカブトヤマでダービーを勝った大久保房松であったという大久保本人による述懐が残っている。 それからしばらく牡馬が勝ち続けるが、昭和18年(1943)になると、今だに史上最強馬ではないかと言われるクリフジが登場する。ダービーの1着本賞金が10,000円だった時代に40,000円で取引された馬で、これまた出遅れたが結果的には6馬身ちぎる圧勝。ただし、昭和40年頃の記事を読むと、「クレオパトラトマスやヒサトモに比べたら相手が弱かった」などという、現在の持ち上げ型報道とは一線を画した冷静な評価もある。 戦後、レース体系が整備され、オークスがダービーと同時期に行われるようになり、牝馬の出走は激減した。最後に昭和36年(1961)のチトセホープについて触れておこう。 この馬、オークスを勝って連闘でダービーに出てきている。当初は普通に休ませる予定であったが、同じオーナーの持ち馬で、今でいうところの「チトセ軍団」の出走予定馬が直前で回避したことにより、参戦することになった。この年はゲートが採用された最初のダービーで、何と32頭立て。二番人気に支持されたものの、決して良いとは言えない24番枠を引いたチトセホープは、それでも一旦先頭に立ち、僅差の3着。ちなみにこの年の勝ち馬は1番人気で13番枠のハクショウ。2着は何と23番人気、32番枠のメジロオーだった。六枠連単制だった時代で、あまり意味のない想像だが、三連単があるとしたら13-32-24という、今の人が見てもわけのわからない馬券になっていたことになる 長い昔話はこの辺にしておく。今年はウオッカが登場。もちろん弱いと言う気はないけど、今回取り上げた猛者たちに比べるとさすがに迫力がない気がする。個人的には、この劣勢を巻き返すために四位には徳田伊三郎ばりに「ヘイ、チェッ」とでも言って奇襲攻撃に出ることをお勧めする。 予想なのですが、ゴールドアグリに安藤光彰が乗らないと知った時点で馬券購入意欲が激減。敢えて言うなら、ナムラマースをしつこく買ってみたい。あとは印の通り。 編集後記
上の見出し『AF対決にVが乱入!』の「A」を「Admire Aura」、「F」を「Fusaichi Hou-o」、「V」を「Vodka」か「Victory」と読み替えたあなたは普通の競馬ファンです。そんなありきたりでは人生損をしますよ。 そうではなく、「A」を「Anal」、「F」を「Fuck」、「V」を「Vagina」とか「Vibrator」などと読み替えたあなたは精神に異常をきたしています。楡馬読者の資格十分です。 |
第74回
1番人気はダービー史上最多の6連勝中 そろそろコケどきか? 東京優駿
第74回 日本ダービー(JpnT) 5月27日 東京競馬場 芝2400m
忘れてやれよ
情報化社会の昨今、世の中には情報が溢れ、さらには流れが早いので忘れさられる物事が多い。 例えば、中村七之助がタクシー運転手を殴って深夜の街で隠れんぼ事件とか忘れている。琴錦が重婚していたこととか、川島なお美が青学でカンニングしたこと、クローン携帯電話騒動、内田有紀オリコン初登場第1位、大前研一が平成維新の会を立ち上げたこと、「国民の声」という政党があったこと、ビックレッドの岡田オーナーがサンデー産駒を3億円で買って全く走らないうえ種牡馬としても活躍しないこと、みのもんたの会社がズバッと談合していたこと、ダルビッシュの18歳で生涯禁煙宣言、稲垣メンバーによる警官ひき逃げ、島田紳助司会者の殴打事件、エモヤンが大阪知事選で惨敗したこと、等々、忘れている。俺は忘れないぞ。 さて、今週は日本ダービー。久しぶりに週刊ギャロップまで買って勉強してみた。正直、情報が入れば入るほど予想が難しくなる。情報もある程度にしないと困るものだね。 で、予想。本命はヴィクトリー。勢いでそのまま2冠達成と予想。先行力は魅力。ただ、今回は人気のようなので、軸として絶対視はしない。対抗はサンツェッペリン。小さな牧場で奇跡的に生まれた運命の強さに期待。人気もなく松岡が気楽に乗れるだろうし。3番手はフィニステール。安定感と鞍上の一発に期待。その他タスカータソルテ、ヒラボクロイヤル。フサイチホウオーは再度脚を余す展開がみたい。単勝2倍を切るような馬ではないのではないか。ウオッカは2キロ減でどこまで対応できるか。鞍上は不安。 (鎌倉重明)
ルーズ・ヘアー
まず言っておくことが。 まだ人生は長い。やり直しは利く。がんばれ、A.真一郎! え? A.真一郎って誰かって? ヤだな、先週、初めてGTで1番人気に騎乗して惜しくもハナ差で負けちゃった騎手のことであって、酒鬼薔薇○斗くんのことじゃないですよ。 話は変わって、先週の西ノ海さんの記事でリーブ21のCMの話が出ましたが、私も以前に発毛系の変なCMを見ました。 20人近くの人が映し出されているのだが、皆揃いも揃ってハゲ。司会進行役の人(この人はふさふさ)が「どうですか、これから髪が生えてくるわけですが…」などと笑顔のハゲに向かって話しかけている。そしてハゲ同士がこれまでのハゲの悩みを理解し合い、これから髪が生えてくる喜びを噛み締め合う、という変な内容。「髪が生えるまでお互い頑張ろう」みたいな雰囲気に包まれてCMは終了。これぞまさに「ハゲがハゲまし合う図」。髪が生えちゃった後の映像を使ったCMはごく普通だが、まだ生えてない人を使うとはなんと斬新な…。1度しか見てないが、こんな面白いCMはもっと流すべきだ。 さて、ダービーだというのにハゲの話なんかして恐縮です。「かみ」は「かみ」でも「神の水」の力でダービーは的中と行きたいところです。予想は印をご覧あれ。 (青汁注射)
|