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【K馬券Q】(第6回) WIN5と単勝式の関係 〔第2講〕

 引き続き、「新馬券・WIN5と単勝式の関係」の第2講と参りましょう。

 第1講では、WIN5は「単勝式という篩(ふるい)に5回かけて生き残ったら的中という馬券」であり、各レースの篩は単勝オッズと相関している、といった内容でしたが、第2講では、単勝コロガシとどう違うのか、という話をしましょう。また、WIN5が2億円になる時の勝ち馬の単勝人気についても述べます。


 まずは単コロとの関係です。あれこれ説明するより、まずは表にしてみましょう。過去6回に関して、WIN5の対象5レースで100円から単勝コロガシが成功し続けた場合に手にする金額の遷移です。

日付1レース目2レース目3レース目4レース目5レース目WIN5
2011/04/24350円1,880円9,980円50,570円545,470円810,280円
2011/05/011,680円7,600円22,800円79,800円1,348,620円2,183,780円
2011/05/08450円1,330円6,010円69,610円320,170円508,690円
2011/05/15310円4,120円24,210円481,590円1,974,240円7,636,650円
2011/05/22480円2,480円75,440円361,960円13,462,740円146,850,110円
2011/05/29250円630円2,010円37,010円111,010円555,070円


 さてどうでしょうか。真っ先に思いますよね、「単コロってWIN5より割が悪いの?」って。

 実はそうなんです。5月15日のBSフジ競馬中継で須田鷹雄がWIN5の途中経過に関して「既に単勝コロガシより良い配当になっています」みたいなことを言っていましたが、これ、当たり前なんです。

 そのカラクリは控除率の適用にあります。第1回「人気と配当率の関係」でも述べた通り、JRAは馬券の売上額から 約25% を差し引き、残った金額を的中票数で割ったものを払戻金としています。単勝式は毎レースでこれが適用されますが、WIN5では5レース分で1回だけの適用です。変な言い方をすると、WIN5では 100% を次レースにコロガせるのに対し、単勝コロガシは 約75% しか次レースにコロガせない、といった感じでしょうか。従って、単勝5回コロガシはWIN5と比較すると4回多く控除されるため、平均的には大凡で 75%4乗=31.6% の払戻金しか得られないことになります。上記表だと、5月15日がその関係にやや近いと言えるかも知れません。

 あくまで平均の話であって、実際にはいろんな要素が関係してこの数字通りにはならないでしょうが、ともかく、単勝コロガシがWIN5を上回ることはほぼあり得ないのです[*1]

 5レース全ての勝ち馬を的中させる、という点で同じなのに、買い方の違いでこれだけの差が出るため、単勝コロガシのメリットは無いと言って良いです[*2]。敢えてメリットを挙げるとしたら1つくらいしか思いつきません。それは、単勝をコロガシ切れたら2億円を超えると分かっている場合。WIN5には上限がありますが、コロガシにそんな制限はありません。但し、5レース目で2億円を超えるほど単勝式を買い込んだら、そのオッズはかなり下がってしまって2億円には届かなくなる可能性があるので要注意です。



 最後に、WIN5の払戻金が2億円になる時の勝ち馬の単勝人気ってどんな組み合わせ?という話をしましょう。とはいえ、最大で1889568通りにもなる馬券なので、細かい話はしません。2つに絞ってお話します。

 1つは、これまでに発売された6回に関して、4レース目までは実際と同じように決まったとして5レース目でどういう人気の馬が来れば2億円になったのか、という話。第1講で述べたように、各レースで単勝支持率と残存率がリンクするということから、ある程度のオッズでそれが表現できるわけです。

 では払戻金が最も安かった5月8日で見てみましょう。

 この日の発売票数だと払戻金が2億円となる的中票数は3票です(上限が無ければ218,394,800円)。5月8日の4レース目終了時点での残り票数は6,060票でしたので、これが3票になる残存率は0.05%。この値から求まる単勝オッズとは…、

 1490.8倍!

 これは酷過ぎますね…(笑) 東京優駿でのタチカゼの単勝554.3倍でも遠く及びません。こんな感じで、過去6回を一覧にまとめると以下のようになります。

日付残り票数払戻金
(上限なし)
残存率単勝
オッズ
4レース目5レース目
2011/04/247,170票2票268,606,800円0.03%2645.8倍
2011/05/016,122票3票230,024,490円0.05%1506.1倍
2011/05/086,060票3票218,394,800円0.05%1490.8倍
2011/05/15402票3票259,645,970円0.75%98.9倍
2011/05/22543票4票220,275,160円0.74%100.2倍
2011/05/295,207票4票228,409,340円0.08%960.7倍


 過去6回はいずれも最後の5レース目で2億円超えとなるにはよほどの人気薄が来ないと達成できなかったことが分かります。ただ、5月15日は12番人気81.5倍のスプリングサンダーまたは13番人気114.8倍のコスモネモシンあたり、5月22日は14番人気96.2倍のスピードリッパーあたりが勝っていれば2億円に到達した可能性がありました。この2回以外はタチカゼ級でも2億円には届かなかったでしょう。

 やはり突発的に1レースだけ荒れれば2億円になるってものでもないようです。

 ならば、もう1つの話、どの程度の人気の馬が5回続けば2億円になるのかを考えてみましょう。

 第1回「人気と配当率の関係」で示した式におけるW/Fが 0.00003690% であれば2億円になるのですが、これの5乗根は 5.17%。単勝支持率がこの値となる単勝オッズとは…

 14.3倍!

 結構意外ですね。14.3倍くらいの馬が5レース全てで勝ち続ければ2億円になる可能性があるとは。先週のダービーで言えば、6番人気13.6倍のコティリオンや7番人気15.8倍のトーセンラーあたりの人気が5回続けば、ということです。勿論、WIN5の残存率と単勝支持率が完全に一致はしないのは既述の通りですが、大体の目安にはなるでしょう。[*3]




 以上、WIN5と単勝式の関係についてでした。計算間違いとかあるかも知れませんが、まぁその辺は笑って許してください。

 次回ですが、テーマは特にありません。いつやるかも決めてません。これが最後かも知れませんし、また何か研究するかも知れません。ふと思い立ったらやります。

 あと、『web楡馬』も、ヒマだったらご覧ください (これを読んでる方はヒマな方だと思いますが…)。よろしくお願いします〜。




[補足*1]
もし単コロがWIN5を上回るとしたら、第1講で述べた残存率と単勝支持率の相関関係が全く崩れてしまう程に、馬券の売れ方に偏りがあった場合です。

[補足*2]
もちろん、WIN5対象レース以外では単勝コロガシは意味があります。WIN5対象レースで単勝を5回コロガすくらいならWIN5を買うほうが良い、という話です。

[補足*3]
18頭立ての場合、全馬の勝つ確率が等しいとしたら、その勝率は1185.56%。単勝オッズにすると13.3倍。等確率より少し悪いくらいの馬が5回勝てば2億円。こう考えると、2億円ってあっさり出ても不思議じゃない気がするんですが…。
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