【K馬券Q】(第3回) 〔タケユタカ学 第1講〕
いささか、馬券研究も飽きたので、(え〜っ!? まだ2回しかやってないのに…?) ここらで、最近どうも落ち目な感じが否めない武豊さんを研究してみようと思い立ちました。
9月28日終了時点で121勝で、2位・岩田康誠と32勝差をあけてブッチギリのリーディングをひた走っているはずなのに、どうも落ち目な感じがしてならない武さん。
今年の武豊は何かヘンだぞ、と思っている人はこれを読めば納得できるかも知れません。(できないかも知れません)
9月28日終了時点で121勝で、2位・岩田康誠と32勝差をあけてブッチギリのリーディングをひた走っているはずなのに、どうも落ち目な感じがしてならない武さん。
今年の武豊は何かヘンだぞ、と思っている人はこれを読めば納得できるかも知れません。(できないかも知れません)
手始めに、今季の武さんの9月28日終了時点での成績をお浚いしておきましょう。
1着 | 2着 | 3着 | 騎乗 | 勝率 | 連対率 |
---|---|---|---|---|---|
121 | 78 | 55 | 552 | 21.92% | 36.05% |
いやぁ、これだけ見たら、十分な数字ではありませんか。勝ち鞍は挙げているのに何で落ち目に見えるんでしょうかねぇ。
じゃ、今季彼が勝った重賞を見てみましょうか。
競走名 | 騎乗馬 |
---|---|
フェブラリーS | ヴァーミリアン |
ファルコンS | ダノンゴーゴー |
…あれ? これだけ? 2勝しか挙げてませんね。地方で関東オークスを勝ってはいますが、中央ではこれっぽっちなんですか、天下の武豊が…!? 去年の同時期は重賞11勝を果たし、最終的には15勝にまで達したのですがねぇ。
つまり、大きなレースを勝たないんで印象が薄くなったってことでしょうか。それを明らかにすべく、ちょっと変わった指標を考えてみました。名付けて「大舞台に強いぞインデックス」。
まず、1着の本賞金がどんな額のレースを平均的に勝っているのか、を見てみます。
これは、1着になったレースの1着本賞金を合計し、それを勝利数で割ります。例えば、100勝を挙げていても、それが全て未勝利戦で挙げた騎手の場合、その値は500万円にしかなりません。逆に、唯一の勝利が東京優駿という騎手の場合は1億5000万円となります。他では勝てないものの、大舞台だけ強い騎手ほど高い数字になるはずです。
上記の計算を今季の武さんに適用すると、勝利を挙げたレースの1着本賞金の平均は、
905.62
万円です。これだけだと周りと比べて高いのか低いのか判りにくいので、今季これまでの全レースの1着本賞金平均との比を見てみましょう。これが「大舞台に強いぞインデックス」となります[*1]。
すると、9月28日現在の全レースの1着本賞金の平均は
991.99
万円 (障害競走は除く) なので、905.62 ÷ 991.99 = 91.29%
ありゃ? 平均を下回りましたね。
参考までに、今季の「大舞台に強いぞインデックス」上位5位の騎手を以下に列挙しておきましょう。(障害競走は除く)
騎手 | 勝数 | index |
---|---|---|
高野 容輔 | 1 | 393.15% |
小原 義之 | 4 | 189.52% |
川原 正一 | 1 | 184.48% |
田中 学 | 1 | 184.48% |
四位 洋文 | 39 | 180.39% |
今季の勝利がマーメイドSのみの高野がダントツ1位です。「大舞台に強いぞインデックス」の意味がお解りいただけましたか?
でも、勝利数が少ない騎手が一発屋的に上位に来やすいのは確かで、どこかアンフェアな取組に見えますので、勝利数が10勝以上の騎手に絞ってみましょうか。
順位 | 騎手 | 勝数 | index |
---|---|---|---|
1位 | 四位 洋文 | 39 | 180.39% |
2位 | 岩田 康誠 | 89 | 145.70% |
3位 | 池添 謙一 | 36 | 142.61% |
4位 | 川田 将雅 | 60 | 139.75% |
5位 | 横山 典弘 | 79 | 136.57% |
6位 | 上村 洋行 | 24 | 130.42% |
7位 | 幸 英明 | 44 | 122.25% |
8位 | 小牧 太 | 54 | 119.03% |
9位 | 藤岡 佑介 | 63 | 118.62% |
10位 | 角田 晃一 | 22 | 114.88% |
30位 | 武 豊 | 121 | 91.29% |
では、武さんはなぜ平均を下回ってしまっているのか、分析してみましょう。少なくとも、先ほどのインデックスから、大きなレースを勝っていないであろうことは解ります。でも121勝を挙げているんです。ということは、結論は簡単ですね。そうです。安いレースばかり勝っていることになります[*2]。それを確かめてみましょう。
以下の表は、今季の武さんのクラス別騎乗成績を示したものです。
クラス | 馬齢 | 勝数 | 騎乗数 | 勝率 | 単勝 回収率 |
---|---|---|---|---|---|
未勝利 | 2歳 | 3 | 13 | 30.14% | 79.23% |
3歳 | 50 | 159 | |||
新馬 | 2歳 | 6 | 20 | ||
3歳 | 4 | 17 | |||
500万下 | 2歳 | 0 | 0 | 22.29% | 72.23% |
3歳 | 11 | 45 | |||
3歳上 | 15 | 63 | |||
4歳上 | 9 | 49 | |||
1000万下 | 3歳 | 0 | 1 | 13.92% | 79.87% |
3歳上 | 2 | 25 | |||
4歳上 | 9 | 53 | |||
1600万下 | 3歳上 | 0 | 10 | 7.69% | 42.05% |
4歳上 | 3 | 29 | |||
オープン | 2歳 | 1 | 4 | 13.24% | 29.85% |
3歳 | 4 | 25 | |||
3歳上 | 1 | 16 | |||
4歳上 | 3 | 23 | |||
Total | 121 | 552 | 21.92% | 68.62% |
なるほど。これでハッキリしましたね。勝利数の半分以上が未勝利+新馬戦に偏っていて、やけに高い勝率を誇る一方、上位クラスでは勝率が低いだけでなく、たまに勝ったとしても人気馬での勝利が中心ということです。そりゃ今季の武さん乗れてないって思われますよ。
一応、過去のインデックスはどうだったか、も見比べておかないといけませんね。以下の表は、武さんのデビュー以来の年度別「大舞台に強いぞインデックス」です。(2008年度は9月28日終了時点)
年度 | index | 年度 | index | |
---|---|---|---|---|
1987 | 97.17% | 1998 | 153.19% | |
1988 | 123.03% | 1999 | 131.98% | |
1989 | 145.54% | 2000 | 129.99% | |
1990 | 152.12% | 2001 | 146.26% | |
1991 | 139.15% | 2002 | 146.39% | |
1992 | 111.53% | 2003 | 120.84% | |
1993 | 144.51% | 2004 | 124.18% | |
1994 | 133.20% | 2005 | 141.40% | |
1995 | 117.96% | 2006 | 163.15% | |
1996 | 132.48% | 2007 | 136.37% | |
1997 | 149.22% | 2008 | 91.29% |
今年、平均割れしてしまったらデビュー年以来の出来事ですね。しかも現在はデビュー年よりも悪いです。それにしても昨年からガクンと落ちてしまっていますが、これはどういうことなんでしょうか。
察するに、昨年のリーディング争いで上半期は岩田の後を追う展開となり、岩田が北海道参戦や騎乗停止になってくれたお陰で何とか逆転できたわけですが、今年はもっと余裕をもってリーディングを突っ走りたいとの考えから、大きいレースは岩田にくれてやる代わりに、小さなレースでコツコツと勝ち鞍稼ぎをする、という手段に出たのではないでしょうか?
…とまぁ、天下の武豊も落ちぶれた、と勝手に解釈して今回は終了〜♪ さて次回は、気が向けばタケユタカ学の第2講でもやりましょうか。
その前に、今週は『web楡馬』スプリンターズS号を発行する予定です。おヒマでしたらそちらもよろしく。
[補足*1]
“大舞台に強い”というよりは、平均より高い賞金のレースを勝っているか、安いレースを勝っているか、を見る指標ということです。
[補足*2]
武豊がかつて挙げた年間200勝超ほどの勝ち鞍となると、平均より安いレースも勝たねばならないため、多く勝つほどこの数値はどうしても平均に近づくことになります。ただ、満遍なくいろんなレースを勝っていれば、平均より高額なレースも勝つはずなので、平均を下回ることはないでしょう。
Comments
お久しぶりです。こんな下らない記事まで読んでいただきまして有難うございます。
ご考察、かなり鋭いですね。そういえば、無敗の三冠馬で海外遠征して成果の無かった点も、武は岡部と同じ道を歩んできてますね。
“○○”は私も三浦皇成なんではないかと思います。その辺りの研究もしてみましょうか。
ちなみにおいら的考察も聞いていただけないでしょうか。
1984 岡部幸雄 シンボリルドルフで無敗の三冠
1987 武豊登場→岡部幸雄が斜陽をむかえる。
2005 武豊 ディープインパクトで無敗の三冠
2008 ○○登場→武豊が斜陽をむかえる。
「無敗の三冠達成から3年後に、次世代を背負う騎手の登場により斜陽をむかえる」の図式ですね。
そして○○の答えは、三浦皇成とみました。